ごあいさつ

 北摂⼩児科医会会員の諸先⽣⽅には学会へのご参加ならびにご協⼒に感謝申し上げます。
 2025年5⽉より、4年間務められた前会⻑の市⽴伊丹病院⼩児科主任部⻑の三⽊和典先⽣より、北摂⼩児科医会会⻑を引き継ぐことになりました。新会⻑への就任にあたり⼀⾔ご挨拶を申し上げます。
 まず初めに、北摂⼩児科医会開設の覚書として前会⻑三⽊先⽣のお⾔葉より⼀部引⽤させていただきますと、「北摂⼩児科医会のルーツは昭和46年(1971年)までさかのぼり、当時市⽴伊丹病院⼩児科部⻑の佐藤義典先⽣をはじめとする複数の先⽣⽅により始められた勉強会に由来すると聞いております。各⼤学医局関連病院の垣根を越えた忌憚のない症例検討会として市⽴伊丹病院の中川達之先⽣、厚味勇⼆先⽣に世話⼈が引き継がれ、昭和60年(1985年)から箕⾯市⽴病院の下辻 常介先⽣のご尽⼒で現在の形につながる会に発展していったと認識しております。」とのこと、その後、市⽴豊中病院の永井利三郎先⽣、箕⾯市⽴病院の⼭本威久先⽣、市⽴伊丹病院の三⽊和典先⽣へと会⻑が受け継がれ、北摂⼩児科医会は数え55年⽬に⼊ることとなりました。
 ⼩児医療をとりまく環境は北摂⼩児科医会開設からの半世紀といわず、ここ四半世紀としても⼤きく変容してきています。昨今の急速な出⽣数減少にともなう少⼦化の進⾏、予防接種の充実や気管⽀喘息の予防薬の効果、標準感染予防策の浸透などにより、いわゆる⾵邪は⾵邪のうちで治癒し、感染症以外の疾患においても発症率に変化がない限り、⼀次診療のみならず⼆次診療の患者も減少していくことは避けられないことと思います。これからの⼩児医療は⼦どもの健やかな発育を⾒守り、発症前診断や⽣活習慣病などの将来の疾患リスクを減らし、いわゆる未病に対処することがますます重要になってくると考えます。⼦どもの健康にとっては⼤変良いことではありますが、こと学会業務に限れば発表すべき症例の減少は避けられないのかもしれません。このため、発表対象は稀有な症例という概念を変え、⼩児医療で定⽯と考えられていることは⼦どもの症例数の少なさから成⼈医療の受売りとなっていることが多く、そこに対する疑問や提⾔もこれからの課題となってくることでしょう。
 北摂⼩児科医会は既存の学会の分科会ではなく、県域や関連⼤学の垣根を越えた症例検討会として稀有な存在です。豊中、箕⾯と伊丹という系譜から、北摂としては異端の⻄宮が引き受ける由として、古の先⽣⽅が始められた功績の継承と持続可能な発展⽬標の責と⼼得、半世紀以上続く伝統的な北摂⼩児科医会の発展に尽⼒させていただきますので、会員の諸先⽣⽅からのご協⼒を賜れれば幸甚です。

  令和7年5⽉吉⽇


兵庫県⽴⻄宮病院⼩児科 ⾼桑 聖